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J医科大学、北口デビュー(1)瞬間接着剤と修正ペン

最後の生物学実習「ウシガエルの解剖、骨格標本」
を終えた学生たちを待っていたのは、初めての試験。

ウシガエルさんの実習については、あまりにも
リアルな表現が続くので、今回はカットしたよ。

一つだけ、アドバイス。選ぶカエルさんは、
できるだけ骨格のしっかりした大きめさんで、
瞬間接着剤と、修正ペンを持って行くといいよ。

小さいカエルさんは骨が折れやすいからね。
瞬間接着剤は、骨が折れたときのため。

そこでクイズ。
修正ペンは何のためでしょう〜。
正解者には、何かプレゼント。

実習も楽勝、楽勝と言い続けていた生物学。
ギリシャ語のような数学よりは、試験も楽なはず。

私は全く焦らず、過去問をぼちぼちと
記憶しながら、のんびーりと構えていた。
徹夜もしなかった。

posted by ゆうき at 16:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、北口デビュー

J医科大学、北口デビュー(2)北口の掲示板

J医科大学には、東西南北、それぞれの名前がついた
出口がある。

北の方向に面した出口(これが北口)を出て、
そのまままっすぐ構内を歩くと、学生寮にたどり着く。

銀杏並木と青い芝生に囲まれた、レンガ造りの
落ち着いた道だった。

しかーし、雨が降ると大変だ。
レンガが浮いていると、踏み付けた瞬間に、
泥水が足に跳ねるからだっ。
なんとかして欲しいよね。

いつも学生はこの転びそうなレンガの舗道を歩き、
北口から大学構内に入り、北の棟にある教室で
講義を受けたよ。
北棟って、どことなくくらーい雰囲気なんだよね。

で、北口のロビーには、学年ごとに鍵つき
ガラス張りの掲示板が壁一面を占めていた。

その掲示板に、講義変更の紙や学生への連絡事項が
貼り出されるのだ。

posted by ゆうき at 16:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、北口デビュー

J医科大学、北口デビュー(3)北口デビュー

そして、試験の後、点数が足りずに落ちた学生の
学籍番号が貼り出されるのも、この場所なのだ。

北口デビュー。

初めて試験に落ちて、自分の番号が貼り出されることを
こう呼ぶ。
J医大では、とても有名な言葉だった。

「北口デビューしちゃったよ〜」
という具合に使う。

でも今は、逆らしい。

試験にパスした人の学籍番号が貼り出されるように
なったのだ。
時代の流れは止められない。(なんのこっちゃ)

後輩も先輩も、すべての学年がこの掲示板を自由に
見れるから、北口デビューは、隠し通せないのだ。

デビューはとても恥ずかしい出来事だった。

posted by ゆうき at 16:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、北口デビュー

J医科大学、北口デビュー(4)生物学、3名様

試験の終わったある日。
開放感にひたりながら、私は友人たちと、買い物、
飲み会、そんなことばかりしていた。

試験の後に、こういうことをしないと、
続かないのだよ。

いくつかの試験の結果が貼り出されていると聞き、
早速私たちは北口に足を運んだ。

一番緊張したギリシャ語じゃなかった、
数学の試験の結果も数日前に発表となり、
なんとかパスしていたから気が楽だった。

今回の試験、意外に楽勝だったと、すでに勝ちの
姿勢でいた私は、のんきに談笑しながら見に行った。

ドイツ語。
10人近く番号貼り出しあり。
クリアー。当然。ちょっと語学は得意の私。

フランス語。
該当者なし。やさしい先生だしね。

物理学。
ほんの数人の番号が書かれていた。でもクリアー。

生物学。生物学3人。
誰だ、こんな楽勝パターンの試験を落としたのは。
半分バカにしながら番号を見た。
posted by ゆうき at 16:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、北口デビュー

J医科大学、北口デビュー(5)93番、デビューしましたっ

93番。
どうもこの数字、記憶に新しい。
その数字に視線が釘付けになる。

「ねえ、これって、もしかして、私?」
学籍番号、91番のムーミンに聞いた。

「うん、そうかな…」
ムーミンは、ひどく言いにくそうな声を出した。

「ねえねえ、これってもしかして、私、生物学、
アウトってこと?」

ムーミンは、私と視線を合わせようとせず、
うつむいて黙りこくった。
(そうに決まっているじゃないかとムーミンは
心の中で思っていたに違いない)

ガーン。
生物を落とすなんて、想像もしていなかったよ。
「しょっぱなから、北口デビュー!?」

私はふかーいため息をついて、一人で帰るわ、と
ムーミンに告げ、その場をとぼとぼと後にした。

posted by ゆうき at 16:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、北口デビュー

J医科大学、北口デビュー(6)勝負は医者になってからだ

今となっては笑い話だけど、当時はね。
北口デビューなどという華々しいネーミングが
ついているけど、デビューした本人にとっては、
辛く悲しく暗い出来事だったのだよ。

同県の先輩にはさんざんバカにされ、
バカにされるだけならまだいいけど、本気で
心配している顔を見たときには、さすがの私も
気が滅入った。

その後、卒業までの6年間に、何度か北口に
自分の番号が貼り出されたな。
憶えている科目では、その後、物理学、
組織学、生化学だったような気がするな。

しかし初回ほどのショックはなく、回を重ねるにつれ、
慣れていったよ。

そう!
人間は、慣れる生き物だ。
試験に落ちてうなだれているキミたち。
慣れるから大丈夫だ。
気にすんな。

試験に落ちなかった学生が、優秀な医者になるとは
限らないんだよ。
勝負は医者になってからだ。
(くやしまぎれ)

その辺、歩いている医者たちに聞いてごらんよ。
そう言うから。

医者になってから、多くの人のために、と
思って努力を続けることができるかが、最終的に
勝つコツだからね!
(って、自分に言い聞かせているし)
posted by ゆうき at 16:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、北口デビュー

J医科大学、北口デビュー(7)教授からの呼び出し

しかしこの最初のデビューは、大変だった。

その数日後、生物学の教授から、直々に呼び出し。

何故かってーと、生物学の教授は、
私のホームルームの先生だったからなんだ。
入学後1年間は、学生数名に、担当のホームルームの
先生がついたのだ。

困ったこと、悩み事があれば、まずはその担当の
先生に相談しなさいね、という役割みたいだね。
(ね、J医科大学は、学生を大事にしてくれるんだよ)

直接教授から、答案用紙を返されて、教授室で、
小一時間ほど、試験の解説を受けたよ。

説明を受けながら、ポイントを外した勉強を
していたことを痛感したな。

「今からね、もっともっと、大変な試験
ばかりになりますよ。どうか、頑張って、
ついていって下さいね」

人格者で非常に温厚な教授は、
穏やかな顔をしながら、がっくり落ち込んでいる
私を、励ましてくれたのだ。
(ありがとうっ! 教授)

「はいっ。これから頑張ります」
教授室を出る時に、威勢よくそう言い、
私は深々と頭を下げた。
posted by ゆうき at 16:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、北口デビュー

J医科大学、北口デビュー(8)その後の私

それ以降、私はしっかり心を入れ換えた。

試験勉強は誰よりも早くなり、数年の後には、
マークシートの鬼と化していた。
(なんだそりゃ)

生物での北口デビューや、教授のお言葉が
なかったら、きっと私は当分、だらけた
生活を送っていただろうな。

しょっぱなからのデビューはとてもとても
辛かったけど、今となってはいい思い出だ。
あんなことで、一喜一憂していた自分が懐かしい。

現場はもっといろんな出来事があるからね。
それを考えると、学生時代の悩みなんて、
たいしたことじゃないんだよ。

悩みの渦中にある時は、それこそ生きるか
死ぬかって感じで苦しむだろうけどね、
数年経ってごらんよ。
小さいことだって分かるから。

北口デビュー。
とても懐かしい響きだな。
posted by ゆうき at 15:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、北口デビュー
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