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初めての解剖学実習 その4(1)目立て!女子学生

私たちのティッシュには、女子学生(私と
ムーミン)2人、いたおかげで、おそらく、
他の二人の男子学生は得をしたはず。

同じティッシュに女子学生が混じっていると、
厳しい試問攻撃から逃れることが多かったからだ。
女子学生が少ない以上、女性はどうしても
目立ってしまう、だからあてられる。

先生たちもむさ苦しい男に試問するよりは、
かわいい?若い女性に試問した方が気分もいいだろう。
私も教官なら、女子学生より、イケメン男子学生に
聞いちゃうな。
(これはもう無意識だ)
悩む顔がまた格好いいだろうなあ〜。

と、勝手にそう思っていたけど、きっと
先生たちもそんな差別はしていなかっただろう。

解剖学実習にあたっては、化粧も必要なし。
着用する服も、解剖用のぼろぼろの厚手の
トレーナーとズボンだったしね。
(実習室は寒いから)

初めての解剖学実習 その4(2)教授に見つめられたムーミン

でも私はどういうわけか、よく口答試問された。
いじめの一種かと思うほどあてられた。
ムーミンも結構試問されていたよね。
(辛かったねー)

そうそう、口答試問とムーミンで思い出したよ。
ムーミンは笑うと左の頬にエクボができたんだ。

あれは教授が私たちのティッシュに来て、特に
ムーミンに集中攻撃がきていた時だったな。

助教授は私をよくあてたけど、教授はムーミンが
多かったな。
好みが違うんだろうな。

突然、教授が試問をぴたりとやめて、彼女の
顔をじーっと見つめ始めた。
あまりにもかわいいからか?
(なーんてね)

あまりにも真剣に教授がムーミンの顔を見つめる
ものだから、私たちは一体、何が始まるのかと
思って、息を呑んで教授の動向を見守った。

初めての解剖学実習 その4(3)キミのエクボの位置

「キミのエクボの位置、ヘン!」
教授はムーミンに向かって、ただそれだけを
言い放つと、部屋を出て行ってしまったのだ。

あとから聞いた話だと、どうも彼女の
エクボの位置が、唇から離れすぎていて
不自然らしい。

エクボを作る筋の位置が、人と違うらしいのだ。

なんだなんだ、今のはいったい、なんだったんだ?
とティッシュの4人で、話し合いを始めたところ、
今度はおにがわら助教授がのっそり登場した。

「だーれだー。エクボの位置がヘンな学生って〜
ムーミンか〜」

と、機嫌よく鼻歌を歌いながら入ってきた。

かわいそうにムーミンはそれからしばらく、
注目の的だった。

緊張感の漂う解剖学実習。
時にはほっと一息つきたいよね。

初めての解剖学実習 その4(4)日々、真摯な姿勢で行うこと

解剖学の先生たちは、いいかげんな気持ちで
御遺体に向かうことを非常に嫌った。

めったにないことだが、学生がふざけながら
実習しているのを見つけると、その学生を
徹底的に攻撃していた記憶があるな。

当時の言葉で、「目をつけられる」という意味だね。

目をつけられると、実習の最後まで常に
試問攻撃にあい、余程努力し、頑張らないと
解剖の試験には通らないと言われていた。

この試験にパスできないということは、つまり、
留年する、ということだ。
それだけこの実習は厳しく、大切なんだってことだよ。
決して生半可な気持ちで学ぶものではないんだよ。

初めての解剖学実習 その4(5)威厳ある教官たち

しかしあのときの教授、助教授の姿勢。
ごまかしのきかない先生たちの姿勢は、今の私たちに
とっても、大切な記憶の一つになっているよ。

「なぜ、君たちは医師になりたいと思ったのか」
「君たちは今、どんな気持ちでそれぞれの場所で
臨床をしているのか?」
「当時のような真摯な気持ちを持ち続けているか?」

時々、そう無言で訴えてくるよ。

いいかげんな気持ちで日々の診療をこなしている時や、
惰性で日常を送っている時。

ふと当時のことを思い出して、こう思うんだ。
「あの先生たちには、こんな姿、見られたくないな」
って。
そして心を入れかえるんだ。

初めての解剖学実習 その4(6)おにがわら先生いつまでも

先生たちの威厳のあった姿は、今でも脳裏に
焼きついて離れない。

医学生にとって、解剖学、そして解剖学の先生たちは、
特別な意味を持つ存在だ。

現在、当時の助教授は教授になった。
あの頃のように鋭い目で、学生たちを毎年、毎年、
見続けているのだろうか。

今の学生の中で、あの頃の私のように、酔った勢いで、
「おにがわら先生」と言う学生はいるのかな?
そんなバカな学生は、今はもういないかな?

医学部という場所は、目立たない人が一番、
得かもしれないね。
目をつけられることもなく、何のトラブルにも
巻き込まれずに、6年間を過ごした方が楽だからね。
無難にね。

でも、いろんなことをやって、目立って卒業する
ことも意外に大切だよ。
話題に事欠かないと、退屈しないし、当時のことを
よーく憶えているからね。

今でも大学の先生たちの記憶には新しいようで、
大学にふらっと立ち寄ると、いろんな
場所で時間をつぶせるよ。

先日、学長や副学長先生にも、
「ああ、キミがあの・・・」
と言われたしね。
(あの・・・ 続きはなんだっ? 気になるな)
でもそのおかげでいい酒が飲めたし。

ま、私の人徳ってやつですね。

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