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J医科大学、学生寮の部屋(1) ここが学生寮?

学生寮と書かれたプレートの前で立ち止まった。
どうも女子学生も、この学生寮に住むらしい。

常識で考えて、女子学生には女子寮というものが
あると信じていたからだ。
男子学生と同じとは思いもしなかった。

「まさか、そんなわけないですよ」
同じ日に入寮した三重県出身の女子学生、
ムーミンの父も、この学生寮を目の前にして
呆然とつぶやいたそうだ。

娘の行く末を案じる父親の気持ち、
そのままの言葉である。
ムーミンたちも最初間違えて、女子寮に行っていた。

今はどうなっているのだろう。
事前にきちんと説明はされているのだろうか。

でも事前に説明があったら、もしかすると合格
したのに入学させてもらえない子が出てくるかも。
父親ってそんなもんだ。

私の両親も複雑な顔をしていたが、これを逃すと
もう二度と医学部には入れないと分かっていたため、
黙っていた。 

posted by ゆうき at 10:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、学生寮の部屋

J医科大学、学生寮の部屋(2)新入生の世話役(BBS)

学生寮の中は、外観のレンガの瀟酒?な造りとは
あまりにもかけ離れていた。

階段を数段上がったところの、重い木の扉をぎいっと
開けた瞬間、あまりにも雑然とした埃っぽく男くさい
雰囲気に圧倒された。

私も両親も先ほど入った女子寮と比較して、
そのあまりの違いに呆然となってしまった。

「ここ?」
「そのようだね」
どこで靴を脱ぐのか、その境すら分からない荒廃ぶりだ。

しかし玄関に入った瞬間、新入生の世話役を
してくれているボランティアの学生が
すぐにわらわらと側に集まってきた。

新入生の世話役は、BBSと呼ばれた人たちだった。
正式には、
ビッグブラザーズ アンド シスターズ システム
と言う。
新入生の面倒をみるボランティアの集まりだ。

全寮制なので、新入生の相談役の先輩がいた方が、
早く大学生活に慣れるとの配慮で結成された集まりだった。

この集まりは、学生単独で運営されているわけではなく、
教職員も間に入っていた。

最初に出会う一般教養課程の先生たちや基礎医学、
そして臨床医学、更には卒業生に至るまで、あらゆる
分野の教職員たちが入っていて、事前に研修なども
きっちり行われているらしい。


posted by ゆうき at 10:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、学生寮の部屋

J医科大学、学生寮の部屋(3)BBSってすごい

寮に入った私たちが玄関で戸惑っていると、早速
BBSのお兄さん、お姉さんがやってきて、まず、
部屋のくじ引きが行われた。

白い小さな紙をがさがさと開くと、そこには「B」と
書かれてあった。

当時この学生寮は、鉄筋三階建てで横長の七棟からなり
629個の個室と集会室や大小ラウンジ、食堂などがあった。
(今は、684の個室に増えたらしい)

ラウンジは6〜10個の個室で構成されていて、
1年生だけは、1年生同士のラウンジが存在し、
2年生からは上級生ごちゃまぜのラウンジに
引っ越すことになっていた。

女子学生は、玄関から一番遠い場所にある
(ほんとに遠くて、玄関まで歩いて3分はかかる)
当時、大奥と呼ばれたラウンジがあてがわれた。

今では女子学生も増えたため、男子学生のいた部屋に
侵入しつつあるようだ。
徐々に、女性が、奥から勢力を広げて来ている感じ。

Bの部屋が決まると、その部屋の担当のBBSの
女子学生が、すぐに来てくれた。

彼女はにこにこしながら部屋まで案内してくれ、
更に先に送ってあった段ボール箱を手分けして
運んでくれた。
その行き届いた対応に、私も両親もびっくり。

「あんたも、あの先輩のように、いい人間に
なりなさいよ!」

なぜか母親から怒られた。
どうして怒られなきゃいけないの?

ま、それほど入寮日の先輩たちの
行動には、頭の下がるものがあったのだ。

posted by ゆうき at 10:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、学生寮の部屋

J医科大学、学生寮の部屋(4)なんて狭い部屋なんだ

私の部屋は玄関から遠く離れた一番奥にある3階の
部屋だった。
Bの部屋からはグラウンドが見渡せた。
駅に停まらない新幹線が通過するのも見えた。
夕方には、正面に、夕日が見えた。

鍵をもらい、部屋を開けると、どうも1年間、
人が住んでいなかったらしく、ホコリだらけだった。

「この部屋、私が一年生だった時の部屋なの」
ホコリだらけの部屋で、BBSの先輩がため息をついた。

(うわー、きたな。うわー、せまー)

部屋の広さは約5畳。
部屋の中にあるのは、ふるーい木のベッドと、木の
机のみ。
あとの備品は各自買いそろえるか、先輩から
譲り受けるか、どちらかだ。
posted by ゆうき at 10:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、学生寮の部屋

J医科大学、学生寮の部屋(5)くまとウサギのぬいぐるみ

「全く、大学生にもなって、こんなもの持ってきて!」

突然、母親の金切り声が部屋の中をこだました。
その声をある程度は予想していたので、やれやれ
またかと思う程度だった。

部屋のすみに置かれた一つの、妙に軽い段ボール。
その中には中学時代からずっと持っていた、
ふるぼけた、くまとウサギのぬいぐるみが、
支えあいながらひっそりと潜んでいたのだ。
それが見つかったのだ。
(あとでこっそり開けようと思ったのに)

誰がなんと言おうが、私のぬいぐるみに対する
執着は、半端ではない。
あの頃はまだまだだ。
だって、たった二匹だけだったからだ。

それが今では(そう、30代後半になっても)、
数えるのも大変なくらい、くまとウサギの
ぬいぐるみがぎゅうぎゅうの状態で
生息している。

さらにウサギは生体で2匹もいる!
生体を飼って分かったことだが、
ぬいぐるみと違って、彼らはわがままだ。
定時になると音をたててゴハンを催促し、
こっちの都合も考えず、遊べ遊べとうるさく、
なでろなでろとも言う。

なでていると、今後は、うるさそうにぷいっと
どこかに行ってしまう。
通り道に人間がいる時は、邪魔だ、どけ、と
鼻でぐいぐい押しのける。
君たちは何様だと聞くと、ウサギ様だと胸を張る。
ほんとか。

さて、ぬいぐるみの数。
数えるのが怖いが、数えたら、十超えていた。
(生体抜きで)

こう分析する人もいる。
ぬいぐるみを持つ人というのは、
想像上の仲間をつくって、社会との間に
ワンクッション置くらしい。

傷つくのを恐れているってわけ。
うーん、なるほど、鋭い分析。

posted by ゆうき at 10:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、学生寮の部屋

J医科大学、学生寮の部屋(6)キミのは愛着ではなくて執着だ

「くまを捨てなさい! 
キミのは愛着ではなくて、執着だ」

その数年後、喘息発作が起こった時、恩師の
呼吸器内科の杉村助教授(当時)から、
訳の分からない説教をされた。

それでもふふんと笑って捨てなかった。

杉村先生処方の薬を飲み、時には吸入まで
しながら、くまと生活した。

それからも彼は、私の顔を見ると、くまは捨てたかと
変わりなく説教する。
まだいるよーと言うと、更に説教する。

ネコアレルギーで喘息を起こし、死にかけたことも
あるネコ飼いの人たちが、彼の外来に何人も来るらしい。
きっとその人たちにも、そう説教しているのだろう。
愛着ではなくて、執着だ、という言葉も、
仲間うちでは彼の名言の一つだ。

ウサギアレルギーでなくて、幸い。
国家試験が終わったとたんに、喘息も完治した。

そうして、私の部屋には、備え付けのベッドの上に
ぬいぐるみが並び、服も片付き、ある程度
生活できる状態になった。
posted by ゆうき at 10:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | J医科大学、学生寮の部屋
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